新月の王 Ⅰ
「そういやさ、玲央って夜眠れないのか?」

「なんで?」

「いっつも昼寝てるから、ひょっとしたらって」

「・・・・・・まぁ」

「夜が怖いのか?」

「・・・」

「言いたくないなら無理して話さなくて良いからな・・・ごめんな」

「・・・」


なんでかな、駿。駿なら話せると思ってしまったよ・・・。


なんで気付くかなぁ。


「・・・トラウマかなぁ」

「・・・うん」

「内容は、言えないけど」

「うん」

「夜、魘されるんだよねぇ」

「・・・そうか」

「まだ昼は、夜程ではないからさ」

「夜はダメなんだ。魘されて汗びっしょりになって飛び起きる。それがしんどい」

「うん」

「だから、昼寝るようになった」

「・・・そうか」

「うん」


駿はただ相槌をただ打ってただけで後は何も話さなかった。


ただ私にはそれが嬉しかった。人からあーだこうだ言われても、迷惑なだけ、恩着せがましいお節介も、人を見下す同情も、あんなの自己満足の非人間のする事だから。


ただ、うっかり見せてしまった弱い自分を、他の4人がしっかり聞いてた事なんて知らなかった。
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