新月の王 Ⅰ
4年前のある日、俺ら家族は親父の親友で兄貴の親友である家族の葬式に参列した。


亡くなった人は、親父の親友の嫁。兄貴の親友の母親だった。


理由は事故死だったそうで、親父の親友とは初対面だったが、兄貴の親友には俺も可愛がってもらってたから、少し心が痛んだ。


だけどその親族席に並んで、兄貴の親友の横で泣きじゃくる女の子がいて、俺はその子に釘付けだった。


あまりにも悲痛な泣き声だっただから、なんも出来ねぇ中坊だった俺ですらもなんとかしてやりてぇと思うほどの悲痛なあの泣き声は、周りの大人たちはどう思ったのだろう。


葬式が終わって帰る車の中、親父も母親も兄貴も誰も口を開くことはなかったのを覚えてる。
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