夏の日、僕は君の運命を変える
エピローグ 君と見た夕焼け












「心ーっ!」




振り向いたわたしは、何かに思い切り体当たりされ尻餅をついた。



「希和重い!離れて離れて!」

「あはっ、何か嬉しくなっちゃって。心がいるー」

「変なの。わたしはここにいるのに」



希和が立ち上がり、手を差し伸べてくれる。

わたしはその手を取り立ち上がると、希和がわたしのつけていたペンダントを手に取ってしげしげと眺めた。



「へぇ、可愛いねこれ。どうしたの?」

「んー…。
実はよくわかっていないんだけど、大事なものなんだ」

「大事なもの……?」

「うん。大事なものだよ。ほら」



わたしはペンダントの後ろに刻印されている文字を見せる。

希和はわたしを見てニヤーッと笑った。



「ミズキねぇ。心、春田にオッケー出したんだ?」

「……春田?」

「あー覚えていないか。そうだよね。
3年間ずっと眠りっぱなしだったもんねー心は」



28年に事故に合ったわたしは、1週間ほど前ぐらいまでずっと眠っていた。



居眠り運転の車がわたしへ直撃しそうだったのだけど、電話をしていたわたしは身を後ろに引き、アスファルトに思い切り尻餅をついた。

車はわたしの前を、本当すれすれで通って行き、電柱にぶち当たって止まった。

怪我人は多かったけど死者は出ず、運転手も怪我で済んだ。

…のだけど、わたしと近くに立っていた同い年の男子が意識不明の重体になったらしい。

彼が今どうなかったかわからないけど、きっと生きているのだろう。

たまにあの交差点を通るけど、花束は何も置かれていないから。




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