夏の日、僕は君の運命を変える






『これからどうしようか?やりたいことある?』

「うーん…特に。
水樹くんがやりたいことやって良いよ」

『じゃ、このデートの本来の目的を達成しよう!』

「本来の目的?」

『心ちゃんがトップを守れたご褒美。
僕が買うって言ったの』

「それ、本当に買ってもらっちゃって良いの?」

『うん。
それに、約束にもなる』

「約束?」

『僕たちが絶対会おうっていう約束。
お金を返すためには、会わないといけないからね。
いわば、心ちゃんが欲しい物は僕たちの約束の証!』

「約束の証……」

『そう。
さ、心ちゃん欲しい物選んじゃって。
僕結構バイト頑張っているから、値段は気にしないで良いよ!』

「わたしの今持っているお金の限度もあるから、値段は気にするよ」

『あ、そっか』

「じゃ、遠慮なく選ばせてもらうね」

『どうぞどうぞ~』



ショッピングモール内には多くのお店が揃っている。

どういうのが良いかな…。

食べ物じゃ消えちゃうから、形ある物にしよう。

形ある物…。

大きいと持って帰るのが大変だから、小さな物。

家に飾る物か、身につける物…。



「…水樹くん」

『んー?』

「身に付ける物でも良い?」

『どうぞどうぞ!
ネックレス?ピアス?』

「ピアスは穴開けていないから、ネックレスかな」

『じゃ近くにアクセってお店あるでしょ』

「うん」



水樹くんが言うお店は、店内が白とピンク色を基調としていて、大人っぽい雰囲気が漂っている。

店員さんの洋服も、高そうだ。



『その店、ショッピングモール内でも評判良いみたいだよ』

「そうなの?」

『うん、ショッピングモールの口コミに書いてあった』

「…口コミ?」

『昨日調べている時に色々口コミ読んで』

「…水樹くん、口コミ読んだの?」

『だってデートだよ?
心ちゃんに楽しんでもらいたいからね』



また、さっきの可愛いもそうだけどサラッと言って。

恥ずかしがっているような声には聞こえない。

素直というか、小悪魔というか。



「…水樹くん」

『は~い?』

「女たらし」

『えぇ!?』

「ふふっ、ありがとうね。
覗いてみるね」

『…どうぞ、ごゆっくり』



女たらしと言われたことが不服そうだけど、わたしはしてやったり。

あんなサラリと言われて、恥ずかしい思いをしているんだから。

これぐらい言わせてよね。




< 31 / 131 >

この作品をシェア

pagetop