夏の日、僕は君の運命を変える
第7章 28年7月25日






夜遅く帰ってきた両親に何も言えなくて。

次の日の日曜日は、何もしないでただぼーっと過ごした。

月曜日になり、何も知らない両親は、いつも通り学校へ行くわたしを見送った。



教室の扉を開けると、希和はいない。

真っ直ぐ自分の席へ向かい、柏ユメの本を読み出す。

わたしには希和以外の親しい友達はいないから、基本希和がいないとひとりで過ごす。

まぁ希和が休んだことはないのだけど。



わたしが本を読み始めて間もなく、希和が教室に入ってきた。

希和はわたしと違って積極的で人見知りをしないから、わたし以外の友達も多い。

「おはよう」と挨拶を交わす希和を少し見てみると、希和もこっちを見ていて目が合った。

希和はいつもわたしの元へ来るけど、今日は来ないで自分の席に座った。

すぐに近くに固まっていた女子グループに話しかけられ、笑っていた。



ひとり窓際の席で本を読んでいると、「おはよう」と声をかけられる。

振り向くと、鞄を背負ったままの奥村が右手をひらひらしていた。




「……おはよう」

「筧はどうした。いつも一緒じゃねぇか?」

「…ちょっと」

「喧嘩でもしたのか?」

「…そんな感じ」



奥村は鞄を置き、席に座り教科書を入れ始める。



「……今、暇」

「へ?」

「今、暇かって聞いているんだ」

「……暇そうに見える?」

「…じゃ、後でで良い」

「良いよ、暇。どうしたの?」

「…良いのか、本」

「良いの。
これ読むの3度目だし、内容が全く頭に入らないから」

「…じゃ、ちょっと来て」



立ち上がって教室を出て行く奥村。

わたしは本を閉じ、後姿を追いかけた。





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