青い花束
第四章

次の日。


「行ってきまーす。」


昨日は色々考えてて、なかなか眠れなかったな…少しクマできちゃった。


「ふわあー…」


「でっけーあくび。」


「うるさい…!?」


私は目の前に立っている人を見て驚く。


「け、圭太…?」


「何驚いてるんだよ?一緒に登校するんだろ。」


いや、昨日の今日で一緒に登校しようとするって所にもびっくりだけど…


「何その眼!?」


圭太の眼は、真っ赤に充血していて、黒々としたクマがはっきりと付いていた。


私は気まずいのも忘れて、まじまじと見つめる。


「う、うるさいなー。俺にだって眠れない日くらいあるっつーの!」


圭太はそう言って、私にデコピンをお見舞いした。


ね、眠れなかったんだ…


圭太は何があってもぐっすり眠れるタイプだと思ってた…


ごめん、圭太。


少しだけ哀れんだような目で見つめてあげる。


「碧…何か失礼な事考えてるだろ?!」


「いや、意外と繊細だったんだな…って。」


「〜っ!キライだ!」


そう言ってそっぽを向いて歩いて行く。


なんか、普通に話せてる…?


私は、「ごめんごめん」と笑いながら付いて行った。



学校に着くと、グラウンドや体育館など、色々な所に人がいた。


昨日が体育祭だったから、今日は片付けの日なんだ。


「俺、グラウンドだから。このまま行く。」


「あ、うん。教室にカバン持って行こうか?」


「……頼むわ。」


「ん。」


私は圭太のカバンを受け取り、教室へ向かう。


「っあーちゃん!」


私が廊下を歩いていたら、後ろから誰かが抱きついて来た。


『あーちゃん』って呼ぶのは1人しかいないけど。


「紗那?おはよ。」


「……うん」


『おはよう』に『うん』っておかしくない?


「なんか、元気ない…?」


どうしたんだろう。


私はクルッと紗那の方に向き直り、頭を撫でる。


「あーちゃん…あのね…」


紗那がこんなに元気ないって珍しいな。


もしかして、先生と何かあった…?


そう思うと、聞くのが怖くなってくる。


「あのね…」


私はゴクリと息を飲んで、次の言葉を待った。


「昨日お父さんに私のプリン食べられたの〜!」


「へ?プリン?」


予想外の答えだ。


「そう、プリン!楽しみに取っておいたのに…!」
< 34 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop