不機嫌なキスしか知らない
紘は麗奈先輩の言葉に何も言わない。
きっと、言えないんだ。
私をデートに誘ったのは紘だから。
「……いいよ、紘。聞いてあげなよ」
よくないよ、行かないで。
麗奈先輩のものに、ならないで。
「私そろそろ帰ろうと思ってたから、ちょうどいいしここで帰るね」
ちょうどよくないよ、行かないで。
もう少し紘と一緒にいられると思ってたよ。
思ってることと反対の言葉ばかり出てくる。
こんな臆病で可愛げのない女だから、圭太も振り向いてくれなかったんだよ。
こんな女だから、紘は私を好きになってくれないんだよ。