不機嫌なキスしか知らない
まっすぐ私を見つめるダークブラウンの瞳。
操られるみたいにゆっくりと、机の上に座っている紘に近付く。
「麗奈先輩に、取られたく、なかったから」
「なんで?」
「……紘が、好きだから」
震えた声。泣きそうな瞳。
無意識のうちにぎゅっと噛んだ唇が、紘の唇によって解かれる。
そっと、宝物に触れるみたいに、久しぶりに触れたそれは優しくて。
そっと目を閉じたら、腰に回った手がぐっと身体を引き寄せた。