世界はきみに恋をしている。

最近笑うことが多くなったな、って。
タケちゃんにこの間そう言われた。

『美術部に入った効果かもしれんなあ。
ノヤマ達に言っといてくれ。ノガミにそろそろ絵の描き方でも教えてやれ、ってな』

タケちゃんは笑いながらそう言って、俺の肩をぽん、と叩いた。




一つだけ、疑問に思っていることがある。

それは、やっぱりこの美術部についてのことだ。
カナもミウも、これに関しては一切なにも口にしない。

美術部というのは名ばかりで、美術部らしいことは何1つしていない。
ただただ、毎日好きなことをして、好きな時間に帰る。
そして、顧問のタケちゃんは、きっとそのことを知っている。

でも、タケちゃんの性格上、そんな不真面目な部活の顧問なんて引き受けるわけがない。というか、もっと真面目にやらせるだろう。

じゃあ何故、顧問のタケちゃん公認で、この部活がこんなにも人数が少なくて、活動もまったくしていないのか。


そしてこの間、カナが俺に言った言葉が、どうもずっとひっかかってるんだ。


『ミウは、もう絵を描かないから』




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