溺愛ENMA様
七番勝負

傷と別れ

※※※※※※

後から聞いた話によると、やはりロイは何も覚えていなかったらしい。

部屋は閻魔が片付けたようだけど、一つ一つ地道に片付けたのか、術を使ったのかは訊かなかった。

ただ、自分が恋していたのがアスモデウス……悪の復讐者だったというのが何よりもショックで私は暫くの間、食事が喉を通らなかった。

仁の肩の怪我は想ったよりも重傷のようで、当分は会えなさそうだ。

「こら、少しは食え」

「……要らない。食べたくないの」

ベッドの中で丸まる私を見て、閻魔は唇を引き結んだ。

「じゃあ今……何が一番欲しいんだ」

閻魔の声は低くて静かで優しくて、私はまたしても泣きそうになった。
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