溺愛ENMA様
だけど同時に、これが許されない想いだと言うことも分かっていた。

桜ちゃんの手前、閻魔を好きでい続けられない。

ましてや彼は、死者を審判する閻魔大王なのだ。

……人間じゃない閻魔とは、結ばれない。

だって彼とは、歳をとるスピードだって違うのだ。

この気持ちを正直に伝えたって、上手くいきっこないのだ。

なら今、さよならを言わなきゃ。

閻魔だって、人間の女の子が珍しかっただけに決まってる。

だって私には、なにもないもの。

出よう、ここから。

私はそう決心すると、挫けそうになる気持ちを必死に奮い立たせた。
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