恋してバックスクリーン

『流星まつり』は、大盛況のうちに幕を閉じた。どこの企業も商店も、大なり小なり収穫はあったようで、早くも来年の開催の話で盛り上がっていた。

「お疲れ様。お茶でもする?」

こちらは収穫なく完敗した、青空スターズのセカンドとショート。海津さんは先ほどの敗戦も忘れて、いつものニコニコ笑顔だったけれど、寿彦さんはいつも以上に暗い表情に見えた。

……もともと無表情だから、よくわからないけれど……。

「行く! 行く! うさぎさんのミルフィーユ食べたい!」

穂花は、商店街にある『うさぎ』という洋菓子店のミルフィーユが食べたいようだ。

「残念! 今日、ここに参加していたから、お店は臨時休業やって」

いち早く情報を伝えると、穂花があからさまに残念そうな表情を見せた。

「そうなんだ。じゃあ今日は、コンビニのスイーツでがまん」

そういうことで、穂花カップルとはここで解散した。なんだか、疲れた。そう思った瞬間、自然とため息が漏れた。

「お疲れ様」

頭上から降り注ぐ、低くて小さな声。私にはちゃんと聞こえていて、ほんの少し元気になれた気がした。


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