恋してバックスクリーン

九回表、横浜ベイブルースの守護神がマウンドにあがると、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。その期待に応えるように、三者凡退で試合を決めた。

「いい試合だったね」

花火が夜空を彩り、試合の余韻に浸る。夜空を見上げながら寿彦さんがポツリとつぶやいた。

私は、膝の上にちょこんと座っている紙袋のおかげで、七回裏からあとのゲーム内容を、よく覚えていない。

「寿彦さん! あの……」

「んー? あ! ヒーローインタビューが始まる」

……また、はぐらかされた。どうしようもないくらいの野球バカだから仕方ない、と、お立ち台に目をやった。

ヒーローインタビューをひと通り聞いた後、もう一度、寿彦さんに声をかけよう。スタジアムが盛り上がる中、ひとりで上の空になっていた。
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