私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「紗枝だから……私はこうして、送り出せるんだよ。だから、頑張って、幸せになって……」


ーーーー幸せになって、私の好きな人たち。


雨に濡れながら、私は親友の駆ける姿をどこまでも見送った。


温泉街から旅館に帰ってくる頃には、15時を回り、チェックアウトしていよいよ帰る時が来た。


車での帰り道、一護とは全く言葉を交わすことなく、友達としても関係が終わってしまったのだと思い知る。


こうして、私たちの1泊2日の旅行は終わった。

…………切ない痛みと、忘れられない想いを残して。



< 171 / 211 >

この作品をシェア

pagetop