私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「「………」」
ただ無言に、静かな時間だけが流れる。
ーキーンコーンカーンコーン
授業開始の鐘が鳴る。
「やだ、一限目始まっちゃった」
「今更行ったって、サボったと思われんぞ。後から体調悪かったとでも言って戻ろうぜ」
そう言って屋上のコンクリートに横になる一護。
それを見つめながら、私も同じように横になった。
「ふぁ……」
「眠いのかよ?」
「ん…」
私は温かい日差しに瞳を閉じた。
瞼を閉じて、見たくないものを閉ざすように、心も閉じてしまえばいい。
好きとか、嫌いとか、悲しいとか……。
そんなの、知らない方が幸せなことを、私は知ってる。
知ってるから欲しがって、抱く分の気持ちを返してもらえない事に苦しむんだ。
「お前……笑わなくなったよな」
「……気のせいでしょ」
どうしたら笑えるの。
好きな人が、私の親友を好きなんだよ?
笑えるわけない、泣きたいくらいなのに。