俺の手が届く範囲にいろ。
「なぁ…」
…隣を歩く京ちゃんが、不意に呟いた。
「…んー?」
「……好きなヤツいるって、
本当なのかよ」
「っ…え!?な、なんで知ってるの…っ!?」
わたしは、バッ…と京ちゃんを見上げて
そんなことを尋ねた。
「…さっき、母さんと話してただろ」
…珍しく京ちゃんは、眉間にシワを寄せて
不機嫌そうにそう言った。
「き、聞こえてたんだ…」
「…で、まじなの?」
「そ、それは…その……」