のんきな恋

家に着き、

「おじゃまします」

とズケズケと部屋のなかに。

「酒とつまみ」

「は?なんで?」

「酒とつまみ」

しぶしぶ台所に。

「つまみは何か簡単なもの作るよ。

何がいい?」

「じゃあお前の得意なつまみ」

なんて部屋のソファに座り命令してくる。

おつまみを作っているといつの間にか一浩が側にいて

「なんかいいなぁ、こういうの。

ちょっと抱きしめるぞ」

と後ろから抱き締められた。

お腹の辺りにいた手がどんどん上に上がり何故か胸を触る。

「ヤバい、気持ちいいな」

「ちょっと。
料理の途中だよ」

「でもお前のうなじとかエプロンとかなんかそそられるなって」

うなじあたりにキスをする。

くすぐったくて

「あっっ」

といらやしい声が出てしまった。

「その声もヤバい」

と笑いながら左手で胸をゆっくりと揉み始め右手はお尻をなめるようにさわっている。

「あっダメっ」

っていいながらも気持ちよさに耐えられず止めることはさせていない。

「ちょっとだけな」

と言いながら服の上から触っていた手がどんどん素肌に近づいてくる。



付いていたテレビから歌番組のオープニングが聞こえてくると

「あっ佑樹くん、出る時間だ」

と言ってリビングへ行く

「俺は放置されるの?」

「つまみをつくったでしょ?

今は佑樹くんの応援で忙しいからつまみを持ってきて好きに飲んで」

「は?さっきの甘い雰囲気は?」

「それどころではないもの」

そう言うと咲は真剣にテレビを見てみていた。

1時間ほどして番組も終わり咲は満足げにお酒を飲み始めた。

「楽しかったか?」

「うん。幸せだったぁ」

「じゃあ本題。
どういうことだ?」

「もう私の気持ちはバレてるから素直に話すね。

私は一浩が好きだったけど仲良かったから告白して気まずくなるのは嫌だなぁとか色々と考えてたら告白できなくて…
片想いでも良いかなぁとか思ってたの。

色んな人から栗原さんの何なんですか?とか仲良くするなとかね。

片想いするのも大変だなぁって思ってるときに友達からアイドルのコンサートに付き合ってって言われて。

行ったらみんなステージの上の男の人に恋してて。
当たり前だけど好きでいても文句言われないし楽しくて。

同じ片思いならこっちの方が良いなぁって。

まぁただの現実逃避だってわかってるけど今はそれでいいかって。

そんな感じ。」

聞いていた一浩が急に私を抱きしめてひとこと

「ごめん」

と言った。

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