ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2

共に白髪となる日まで

大輔が蛍さんを紹介してくれた日から半年が過ぎた。

今日は大安でお日柄も良く、結納にはもってこいの1日となりそうだ。




「おかしくないか?」


鏡の前でスーツを確認する主人に目を細める。


「大丈夫よ」


私も久し振りにスーツを着こなしていた。


「祐輔の時も緊張したが、大の時も同じだな」


鏡の前でネクタイを締めている人は、鏡越しに背中を向けている私に話しかける。


「そうね。私としては今日は特に緊張するものを感じるわ」


髪を解くのやめて近寄った。

ネクタイの結び目を整えている彼に替わってやりながら、お礼を言っておこうと思った。


「拓磨さん、今日まで本当に有難う。おかげで大輔も人並みに結婚できそうだし、親としてはこれ以上の安堵はないわ」


式まではまだ半年近くあるが、二人なら白紙に戻るということもなさそうだ。

蛍さんは商品開発部のデザイン担当として頑張っているし、大輔は最近新たに設けられた外商部の専任部長として、多くの商談を結び付けている。


「何もかも貴方のおかげだと思っています。これからもどうか宜しくお願いしますね」


にっこりと微笑みかけた私に渋い表情を見せた。


「それは、父親としての役目を?それとも君の夫としての役目?」


「えっ…」


ネクタイを整える手を止めた。

すぐ目の前にある顔が、眉尻を垂れ気味にして曇る。


< 135 / 191 >

この作品をシェア

pagetop