ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
『あれは病気だから仕方ないの』と言い、その意見に耳を傾けることはなかった。

荒んだ家庭の中で育った大輔は、親父さんが出て行った後、中学に入ってから少しずつツッパリだした。
見た目がヒドかったせいもあって、付き合う連中も同じ様なヤツらが集まる。

仲間になったヤツらは本当のバカばかりだったけど、大輔には意地があったんじゃないだろうか。

廊下に張り出される成績の順位が、常に上位だと純香が話していた。

純香は大輔と同い年だったから、大輔の中学時代のことも高校の頃のこともよく知っている。


中三の時、好きだと告ったら拒否られたと言って泣いていた。
それでも諦めきれずに、ずっと奴のことを追い回している。

本来はボランティアなんてものに興味もない純香だろうが、責任者が大輔だというだけで協力をしている。



(哀れな妹だよな)


永遠の片思いでも続けるつもりでいるんだろうか。
大輔があの子を連れてきたということは、ある意味それをさせないための様にも思えるんだが。



「純香、お前いい加減男作ったらどうだ」


イライラと爪を噛み続ける女に声をかけた。
下唇を前に押し出しているヤツはフン!と鼻息を荒くする。


「大ちゃんよりカッコいい人がいたら考える」


あー、やっぱり大輔が基本か。
そりゃチートどころか結構難しい条件だぞ。


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