ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「話があるんだけど耳貸してくれない?」


顔貸せって言わないだけマシになった方か。
学生の頃は大輔の周りに女がいるってだけで、「顔貸せ」って言ってたヤツだからな。


「あ…あの……」


迫力では絶対に純香の方が勝ちだな。ケイちゃんは完全に負けてる。

それでも、彼女なりには耐えている方なのかもしれない。
すぐには大輔に声もかけず、睨みつけてる純香にだけ目を向けてる。



「いいから、来て!」


あーあ、とうとう引っ張ってったよ。





「……いいのか?大輔」


男どもと話し込んでる奴に声をかけた。
俺に目を向けた男は呑気そうに、「ん?」と首を傾ける。


「純香のヤツがケイちゃん連れてったぞ」


外のバルコニーに続くドアを指差した。


「あ?またか」


呆れるように声を出し、まぁいい…と呟く。


「そんな呑気なことでいいのか?前みたいにいきなり帰るとか言い出すんじゃねぇのか?」


先週末を思い出して言った。


「大丈夫。それはねぇから」


どっちを信用して言ってる言葉なんだ。


「純香がケイちゃんに何かするとか思わねぇの?」


学生の頃みたいにさ。


「思わねぇ…って言うか、あの年でガキみたいなことしねぇだろ?それに何かされた様なら顔見りゃわかるからいい」


なんという自信だ。
これはどう見ても、信頼されてんのはケイちゃんの方だ。


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