ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
間違いなく今夜に決まってるのに狼狽える。

大輔さんに勧められるがままに買ってもらったのはいいけど、さすがに自分らしくない気がしてくる。

ドキドキはあり得ないくらいに増すし、おかげで何だか眩暈まで起きそう。


先週以上の胸の震えを感じて彼の家に着けば、あの鈴木さんというハウスキーパーが、ジロジロと遠慮もない視線を投げ掛けてくる。



「いらっしゃいませ」


挨拶する声も低くて怖い感じに聞こえるのは、きっと私が必要以上に緊張しているせいだと思う。



「お…お邪魔い、致します…」


吃るつもりもないのに、上手く舌が運べない。
構わなくてもいいと言われた鈴木さんが立ち去るまで、私の心臓はマックスに近い状態で鳴り続けた。




「行こう」


背中を押されて歩き出しながら思う。


人生はサイコロの目を振るように、前に前にしか進まないんだと。


そして、この階段を上り詰めた先で、私は彼だけのお姫様として変われる。



誰にも邪魔されたくない。


例えそれが、大切な彼の幼馴染と言えどーーー










< 167 / 191 >

この作品をシェア

pagetop