五月雨物語
ナンバーに入ることもなく

地味にこの仕事をしてきた塁は

辞めるときも、地味だった。

時間が流れ、サクラさんが

いつシャンパンを入れるのかと

待っていたけど

一向に入れる気配がない。

「塁くん、サクラさん

最後だから、入れるよね?」

と、聞いたら

「あいつが

入れる訳ないじゃん!」

と、笑った。

「そうなの?」

「一度も入れたことないよ

あいつは、ただ、飲みに来て

日頃の愚痴を俺に話して

帰ってくだけやから・・・」

そうだったんだ~。

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