五月雨物語
塁は4月から
ダーツバーで働き始めた。

あたしは、昼の仕事を辞め
夜,違うサパークラブで
働き始めた。

指名やポイントのない店だから
競争がなく気楽だった。

何もかもが
新しく変わり始めた。

「今日から初出勤で~す!」

と、塁からメールがきたけど
新しい店に慣れるまで
会いにはいかなかった。

あえて会うこともなく
別れようと言い出す事もなく
なんとなくただ付き合ってる
という感じだった。

塁にとっては、会わなくても
繋がってる、
それが一番居心地のいい
スタンスだったのかもしれない

でも私には頼りない糸のような
関係に思えた。

この頃から
あたし達の時間の流れ方は
微妙にずれていった気がする。
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