五月雨物語
2時間が過ぎた頃

「俺、そろそろ帰るね。」

盛り上がってるみんなに

向かって言った。

みんな引き止めたけど

無駄だった。

あたしは一緒に外へ出た。

風が冷たかった。

「だいじょうぶ?」

「ああ。」

「来てくれてありがとう。」

「うん。

ゆっくりできなくてごめんな。」

あたしは塁の後ろ姿を

成す術もなく見送った。

待つしかないと思った。

塁がいつか

心を開いてくれるのを・・・


結局他のメンバーは家に泊まり

私は大勢でいても寂しかった。


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