五月雨物語
必死で声を絞り出したその時

「あら、社長!」


品のいいスーツを着たおばさんが

小走りにやってきた。


「あら、女の子?

よかったわ~!

雨やむまで

なんか飲ませてあげるから

雨宿りにいらっしゃいな!」


営業スマイルなのか

爽やかな笑顔で言われて・・

こともあろうにあたしは

おじさんからおばさんに

都合よくバトンタッチされた。


あれ?

さっきまでいた社長とやらは?

い、いない・・・!
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