テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「蒼はよく見てるね、俺のこと。好きなの?」


「はぁ?残念ながら澪ちゃんは対象外だよ」


「ふぅーん。…なんで分かったの?」


「見てれば分かるよ。何年一緒にいると思ってんだよ」


蒼は沸騰した鍋の中にパスタを入れた。
俺はすかさずタイマーをセットする。


「どう?可愛いでしょ」


俺はちらりと蒼を盗み見た。


「可愛いね。奪っちゃおうかな」


蒼もちらりと俺を見た。


「無理だね。だって紘那は俺のファンだから」


互いに見つめ合って、それから二人でお腹を抱えて笑いだす。


「俺はさ、澪ちゃんの味方だよ。
だから澪ちゃんのこと応援する。

……ただ、」


蒼はちょっと真剣な顔をする。
< 114 / 240 >

この作品をシェア

pagetop