テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

『そうだよ』


「だったら最初から名乗ってよ!てか、私いくまるに電話番号教えたっけ?」


『交換しただろ、結構前にな。全然電話しなかったけど』


淡々と返すいくまる。
確かにそんな気がする。
すっかり忘れてました。


「ところで何のご用かしら?」


わざとらしい口調で私は用件を聞く。
しばらくの静寂のあと、いくまるが息をつく音が聞こえた。


『ら、来週の土曜日さ、暇?』


来週の土曜日…ライブの次の日か。


「ライブの余韻に浸るのに忙しい」


『それ、暇じゃん』


「うっせっ!」
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