テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

【Sano Side】


あいつは馬鹿だ。
何やってるんだよ、本当に。

泣きじゃくる親友の姿を見て、私はあいつにがっかりしてしまった。
期待してたのにな…中丸郁。

私は紘那から聞いた中丸郁とは別の、もう1人の中丸郁を知っている。

そう、あいつは本来、とんだ意気地なしで、弱虫で臆病なんだ。

本人曰く、紘那を前にすると緊張して、つい素っ気ない態度になってしまう、そういうことらしい。
本当はもう少し明るくて、お茶目なところもある可愛いやつなんだ。

なんでこんなに知ってるかって?
そりゃ、駅で声かけられたから。

「あの、紘那と仲良いですよね。相談に乗って欲しいことがあるんですけど」って。


中丸郁の紘那に対する態度の変わりようで、紘那の事が大好きなんだってことは痛いほど分かる。
それなのに、なんで突然大胆な行動に出たんだろう。
謎過ぎるよ。

見つけた。
私はやっとお目当の人を見つけた。
中丸は、校舎の壁に寄りかかっていた。
その姿は妙に小さく、弱々しく見えた。
私は中丸に一歩一歩近づいた。
中丸はすぐに私の存在に気付き、みるみるうちに、涙で顔を歪ませていった。
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