テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「…クリスマスプレゼントはまだじゃん」


パァァァンパァァァンと花火は鳴り続けてる。
澪君は一度花火の上がった空を見て、それから私を覗き込んだ。
彼は白い箱をそっと開ける。
中には小さな指輪が入っていた。


「ピンキーリングだけど…次は必ず、婚約指輪、渡すから…これは、俺のっていう印ね」


恥ずかしそうに笑いながら、澪君は私の小指にそっと指輪をはめた。
キラキラと花火の光を反射するリングは、澪君と私のこれからを約束してくれているような気がして、私は嬉しくなった。


「もぉぉ」


笑顔と一緒に涙がこぼれた。
だからこんな人気の無いところに連れてきたんだ。
澪君は箱をまたポケットにしまうと、自分のマスクをとった。
それから、「えいっ」と私のマスクも外すと、そのまま唇を重ねた。
背中に回された澪君の手の温もりが暖かい。
私も澪君の真似をして、同じようにした。
花火はまだ向こうでパラパラと音を立てて輝いていた。


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