テレビの向こうの君に愛を叫ぶ
これから

「宅配便でーす」

慣れない場所にあるインターホンからの声で、私は目を覚ました。

部屋の窓から差し込む春の陽だまりの中で、すっかり眠り込んでしまっていたらしい。
慌てて髪を手ぐしで梳かしながら、足早に玄関に向かう。
ドアを開けるとすぐに、爽やかな笑顔を湛えた若い配達員のお兄さんと目が合った。


「こちらにサインをお願いします」


私はお兄さんから差し出されたボールペンを手に、受領印のところに「東雲」と、まだ書き慣れない名前を書いた。
お兄さんはそれを確かめると頷いて、大きなダンボール箱を私に手渡すと、小走りで去っていった。


「ご苦労様です」


私は一声掛けると、ずっしり重たい箱を両手で抱え、よいしょよいしょと玄関に運び込んだ。
送り主は、私の両親。

部屋に運び込み、ガムテープで止められたところに、ゆっくりとハサミを入れた。
ダンボールの箱はすぐに開いた。
野菜やお菓子などのたくさんの仕送りと一緒に、ふわっと溢れたそれは、懐かしい実家の香りがした。


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