テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

私はもぞもぞとベッドから抜け出す。


私が寝かされていたのは澪君の寝室らしかった。


ここも綺麗に片付いた部屋だった。


机も椅子も、みんな木製で温かみがある。


私はドアノブに手をかけると、澪君の部屋から廊下に出た。

優しい朝ごはんの匂いが濃くなる。

昨日の記憶を頼りにリビングを目指して歩く。


「おはよう紘那ちゃん」


リビングに入ると、エプロンをして朝ごはんの支度をする澪君の姿があった。


「おはよう澪君」


まさか、私がテレビの向こうにいた人に「おはよう」を言ってもらえるなんて………


まだ夢を見ているような感覚にとらわれながら、私は澪君が引いてくれた椅子に遠慮がちに座った。


綺麗に畳まれた毛布がソファに置いてあるところを見ると、澪君は昨日ソファで寝たようだ。

体大丈夫だったかな…

疲れてるのに本当に迷惑かけてるなぁ、私は。
< 50 / 240 >

この作品をシェア

pagetop