テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

澪君のご厚意で駅のコインロッカーに私の荷物を預けると、人ごみの中を縫うようにして駅の外を目指した。


「人多いねー」


ハットの奥の澪君は少し苦笑い。

私、アイドルと歩いているんだ。


徒歩3分。

浅草花屋敷の敷地内に私たちは足を踏み入れた。

初めて来る場所に心が躍る。


「あ、」


澪君は入り口のゲートの所で立ち止まると、徐ろにカバンから携帯電話を出す。

画面を私たちの方に向けると、「記念撮影」と言いながら空いている手でピースをした。

私も慌ててピース。



カシャ

カシャカシャカシャカシャ



まさかの連写に私は笑みをこぼす。

見せてもらった写真には緊張気味だった私の顔が笑顔になるまでの様子がしっかりと収められている。
その隣の澪君はどの写真も完璧な写りである。
さすがだなぁ。
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