スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-

Floor 17



音が聞こえる。

水の跳ねる音が、いくつも、いくつも。

ああ、雨だ──と、朧げな意識の中で判断した私は、体にかけられている肌触りのいい薄手の布団を肩まで引っ張った。

包み込まれる感覚にまたうとうとと眠りの世界と現実を行ったり来たりしていれば、いつの間にか水音は途絶えていて。

代わりに。


「……まだ寝てるか」


降ってきたのは聞き覚えのある静かな男性の声。

それが誰のものであるのかを寝ぼけた頭で考えてみると、思い当たった人物。

そして、その人物から連想された昨夜の出来事を思い出した私は、まどろんでいた意識を一気に覚醒させた。

焦り、上半身を勢いよく起こすと、ベッドサイドに立って白いタオルで髪を乾かしている識嶋さんと目が合って。


「──おはよう」


いつもは無愛想なその顔に、さっと赤味が差したかと思うと、タオルで顔を隠すようにしながら私に背を向けた。

ほのかに漂う爽やかな石鹸の香りに、先ほどまで聞こえていたのは雨音ではなくシャワーの音だったのだと知る。

それと同時、ここが彼の部屋であのまま寝てしまったんだということに気付いた。



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