スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


ダイニングテーブルで朝食のスクランブルエッグをつつきながら考える。

パーティーに行くのは彼にとって少々面倒な仕事のようなものだとして。


「どうして私のドレスが必要なんですか。まさか女装でもするん──」

「そんなわけないだろうバカかお前は」


軽い冗談だったのだけど、食い気味に全力で否定されたかと思えば。


「お前も出席するんだよ。俺の恋人として」


全力で逃げたくなることを口にした。

金持ちの集まるパーティーに、しかも西園寺主催とか苦行過ぎる!

けれど、恋人役を約束した以上私が断ることは許されない。

朝食どころではなくなった私は、フォークを置いて。


「いつですか?」

「明日の夜だ」

「ドレスないです無理です」


許されないとわかっていても、逃げたい気持ちがうっかり本音を口にさせる。

もちろん識嶋さんがそれで納得するわけもなく。


「今から準備させる」


彼はソファーに腰を下ろしたまま足を組なおし、スマホを耳に当てた。



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