スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


でも、今さっき気づいたばかりの交際宣言がないことが、心に靄をかけてしまう。

識嶋さんに、ちゃんと確認した方がいいのだろうか。

そう、考えた直後。


「あと、あんまり俺以外の男に触らせるなよ」


耳元で囁くように言われて、その不意打ちに否応無しに頰が熱を持つ。

言った本人は恥ずかしくなったのか、少し耳を赤くしてさっさと会議室を出て行ってしまった。


「もう……反則だよ」


だけど、今のヤキモチ発言で曖昧な関係だという不安が嘘みたいに晴れている。


きっと、大丈夫。

大切なのは言葉じゃない。

識嶋さんの声じゃなく、心を見よう。


まだ少し頬が蒸気しているのを感じながら、私は大きく息を吸って口元に笑みを乗せた。




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