スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


「は?」


あ、口を開けて呆気にとられてる。

識嶋さんでもこんな顔するんだと、なんだか得した気持ちになりながら私はもう少しわかりやすく進言。


「識嶋さんの友達に、立候補です」


ようやく理解できたのか、識嶋さんはまだ多少動揺しているものの首を小さく横に振った。


「いや、俺にはそんなの必要は」

「いいものですよ、友達って」

「人の話を聞け!」

「嫌です」

「な、なんだと」


きっぱりと断った私に、彼は狼狽えて固まった。

ダメなのだ。

ここで私が折れては識嶋さんが嫌われてしまう。

本当はいいところもちゃんとあるのに、それがわかってもらえないままで人の心が離れていく。

それがどうしてか、私は嫌なんだ。

識嶋さんからしたら大きなお世話なのは百も承知。

それでも、きっかけがあれば変われる可能性があるのなら。


「あなたは捻くれて自分にまで嘘をつくから聞けません」


私が少しでも彼に近い存在になってフォローする。


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