スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


これには私だけでなく麻衣ちゃんも驚いたようで、唖然とした顔を見せるもすぐにコクコクと頷いて。


「頑張ります! 急いで仕上げますね!」


俄然やる気になり、真剣な眼差しでパソコンを見つめ素早くマウスを動かし始めた。

そんな二人の様子を瞬きを繰り返し観察していたら、識嶋さんは私の視線に気づいたようで、軽く咳払いし居心地悪そうに「お疲れ」と口にして去っていく。

照れているんだろう素振りに、私は思わず破顔した。

きっと、私の言葉を思い出し、態度を和らげてくれたんだろう。

何だか、すごく嬉しい。

いつの日か識嶋さんがみんなから信頼される社長になってくれたらいいな。

そして、彼がトップに立つここで、働けて良かったと思いたい。

私はそんな日を夢見ながら、麻衣ちゃんに続いてパソコンに向き合う。

頑張ろう、私も。

仕事も、識嶋さんとの約束のことも、前向きに。

そう、前向きな気持ちでいればどんなことでも切り抜けられる──はずだけど。


今私は、切り抜け方がわからなくて困っていた。


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