溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


「順番が逆になって悪いけど、結婚を前提に、俺と付き合ってくれないか」
 
真摯な言葉に胸が震えた。
 
傷つけられて空っぽになっていた心が、彼の眼差しで温かく満たされていく。

「あんな母親だから苦労をかけるかもしれないけど、光希のことは俺が全力で守るから」
 
胸がつまって、なにも言葉にできない。
 
瀬戸生吹の声が、私の心の柔らかいものを包み込む。

「俺には君が必要だ。光希といっしょにいることが、俺の生きがいなんだ」
 
唇が震えるだけで声にならなかった。その代わり、涙が一筋落ちていく。
 
からっぽだった私を、彼はこんなに必要としてくれてる。
 
屋上で言葉を交わしてから、まだ一か月しか経っていない。それなのに、瀬戸生吹は私の心に入り込んで、空白をぜんぶ埋めてしまった。
 
返事の代わりに、つながった手を握り締める。
 
涙をこらえる私の肩を優しく抱き寄せて、彼は「好きだよ」とささやいた。


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