あなたのそばにいたいから
第1章
「あ~ぁ。」とため息。

「ユウちゃん、どうしたの?」

私のため息に反応して、三枝(サエグサ)先輩が声をかけてくれた。
私の名前は、小林 友(コバヤシ ユウ)。
業界準大手の家庭用品メーカー『マザー・ヘルパー』という会社の
広報部に籍を置く28歳。

「まぁ、いろいろと思うところがあって…」

先輩に当たり障りのない返事をした。

「友行(トモユキ)くんのこと考えているんでしょ?」

「えぇ、まぁ。」

「悩んでいないで、何かあったら相談してね。」

「ありがとうございます。」

三枝先輩は、私が入社した当時からかわいがってくださっただけあって、
何でもお見通し。

先輩の会話にあった、友行というのは
私のフィアンセ・小林友行(コバヤシ トモユキ)のこと。通称・トモ。
2か月くらい前から技術研修目的でアメリカに行っている。
1年間という期限付きだけど…。

だから、今、彼とは遠恋中。
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