あなたのそばにいたいから
第4章
休み明け、SG社との仕事が本格化した。
例のトモが開発した商品のアメリカでの販路の件だ。
Web会議にも出席した。SG社のメンバーの中に秀斗(しゅうと)君がいた。

秀斗君とはトモがお世話になっている研究所に勤めている八神秀斗
(やがみしゅうと)という名前の日本人だ。
私がアメリカの高校に留学していたときに、
彼もアメリカの大学に留学していた。だから年齢は私より2つ上。
トモと同じ年齢だ。彼とは留学先の日本人会で知り合った。
留学中、お互い日本が恋しくなると会って話をした。
その後もクリスマスカードを送りあう程度のつきあいは続いていた。

彼がSG社の研究室にいることはトモから聞いていた。
彼は日本人だということで、日本との取引関係になると
部署を越えて駆り出されるのだそうだ。
トモの受け入れのお世話も秀斗くんが担当だった。

会議は滞りなく進められた。その場には、役付の人たちがいたので、
秀斗君に気軽に話せる状態ではなかった。
ただ、今回この仕事に携わっていることはトモに内緒にしている。
せっかく、お義父さんとお義母さんに協力してもらって、
アメリカ行きの計画を進めているのに秀斗君にばらされてしまうと
水の泡になってしまう。Web会議に同席していたうちの部長に
Web会議に出席していた八神さんに挨拶のメールを送りたいと言って
アドレスを教えてもらい、秀斗君にもいろいろ協力してもらうことにした。

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