偽りのヒーロー



 3学期が始まると、ようやく紫璃の顔を毎日拝める日々が続いていた。

安堵と言える学校生活に満足感を得ていると、毎日を意気揚々と過ごしている。



「レオ、ちょっとちょっと」



 小さな声でレオを呼ぶと、すぐさま菜子のもとへ駆け寄ってくる姿。まるでしっぽを振っているようで、わかりやすい好意を背けるのも限界だ、と菜子は苦笑いを浮かべてしまう。



「ごめん、遅くなったんだけどね、これ、お返し」



 多少の期間を経て、ようやく菜子はクリスマスプレゼントのお返しを渡すことができて、一段落とばかりに胸を撫で下ろした。




 ちょうどいいプレゼント、というのが一番難しい。

ずいぶんと頭を悩ませた結果、普段は買わないであろうお菓子をあげた。デパ地下に売っているような、いい値段のお菓子。

スーパーやコンビニで買うお菓子と違って、値段のわりに一瞬に食べ終わってしまうようなお菓子に、どんなに驚いたことか。

時期を鑑みても、バレンタインにはまだ早いはずなのに、何人ものスイーツを求める女性たちがうろうろとお菓子の入ったショーケースを眺めていた。




 菜子の目に入った一つのお菓子は、レオがきっと好んで食べてくれるだろうと思って買ったもの。ごろごろとフルーツやらシリアルやらが入ったチョコレートバー。


プレゼント用に箱に5本入ったものとは別に、自分用にと別に1本買ってみたのだが、あまりにいつも口にしているものとは違い、高価なお味に何度も何度も噛みしめながら味わっていた。


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