新生児マス・スクリーニング―赤ちゃんの命を救う話を、ドクターから聞きました―


注釈のうち、「地域センター化」というキーワードが枠で囲まれている。



「地域センター化って、どういう意味ですか?」



「先天性代謝異常症に関する情報や症例、ノウハウが集まる場所を作りたい、ということなんですよ。うまい日本語訳じゃないかもしれませんが」



「情報や症例やノウハウを集める?」



「ニューヨークでも東京でも大阪でもどこでもいいんですが、大都市をイメージしてください。個人病院から総合病院、大学附属病院、医療研究センターなど、いろんな規模の病院がありますよね。


普通、ある患者さんのカルテは、その掛かり付けの病院にしか保管されていません」



「確かに。別の病院での初診だと、必ず問診票を記入するところからスタートですね」



「しかし、先天性代謝異常症の患者さんの場合、それじゃまずいんですよ。


新生児マス・スクリーニングで、ニューヨークでは50種類の病気が検査対象だと言いましたよね。


小さな個人病院に、その珍しい50種類のうちの1つが発症した患者さんが運び込まれたとしても、おそらく対処できない。少々大きな病院だったとしても、なかなかカバーし切れないのが現状です」



「じゃあ、情報を集めるのは、珍しい病気の治療をしたことがあるお医者さんの経験を、いろんな病院のお医者さんたちで共有するためですか?」


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