闇に咲く華


もういらない、全部いらない。


彼が気に入っていたものすべてを捨てたい。


鏡の前に立ち、覚悟を決める。


長かったストレートの髪をまとめてつかみ、ハサミで一気に切り捨てた。


手からこぼれ落ちる、いらなくなった自分の髪を見つめながら、どうせなら心も切り捨てられればいいのに……と思った。


< 3 / 67 >

この作品をシェア

pagetop