彼が残してくれた宝物
お寿司をたらふく食べ、代金を支払う事もなく、お土産まで頂いた。

「はぁ… また、樋口さんに借り作っちゃった…」

帰ってくると、また、アパートの前に我が物顔で、止まるお高い車を発見する。

こんなとこに止めるかなぁ?
ジャマ! と、所有者の居ない車を睨む。

アパートの階段を上がれば、思った人が居た。

「なんで、また居るんですか?」

「コスモスが、俺に会いたいかと思って?」

確かに会いたかった。
お礼も言いたかったし…
でも… 会いたくなかった。

「そうですね? お礼を言う為には、会いたかったです。」

「それだけ?」

「それだけです。 それ以外に何かあるとでも?」

「まぁ、今は良いや? ちょっと付き合ってよ?」

「私、食事は済ませて来ましたから、食事のお誘いなら、お断りします。」

「うん。 知ってる。 雅寿司行ってきたんだろ?」

あー連絡があったって事ね?

「昨夜もご馳走になって、今日、また美味しいお寿司をご馳走様でした。」

「じゃ、行こうか?」

「どちらへ?」

「俺も食事終わってるし、呑みにでも行こうか?
明日は仕事休み?」

「車は? また、桜井さんですか?」

「いや、駐車場に?」

「ここ住居者限定の駐車場しかないし、私は車持ってないので、契約してませんから、とめれませんよ!」

「じゃ、どっか近くのコインパーキングに止めて行くか?」





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