あたしの1番大切な人


「――真琴。あたしちゃんと決める、決めるから――…」


 真琴、あたし覚悟決めたよ。……だから。ねえお願い。


「――うん」


「これから、どうなるかわからないけど…決めるから、だから……」


 ――お願い決め終わるまで待ってて――…


「――ああ。ゆっくりで良い」


「……志望校とかまでは無理だけど、ちゃんと将来を見据えて考えてみるから少しだけ待って―…」


 ……こんな優柔不断で適当なあたしだけど―…


「……明後日までには絶対にどうするか伝えるから。今はまだ待ってて――…」


「…いくらでも待つよ。杏奈はとにかく落ち着いて、自分がどうしたいのかを考えれば良い。その間、俺は杏奈に近寄らないようにするから」


 どうしてなにも言わなくてもわかるの?
 あたしが真琴に《近寄らない》って言おうとしたのに…言いたかったこと全部代弁してくれる…ホント敵わない。


「ありがとう…」


「いーえ。……って礼言われるようなことしてないけど。じゃ明後日、待ってるから」


「……ん」


 真琴があたしの部屋を出て行った。

 少し自分の気持ちを落ち着かせてから考えることにしよう――…。



< 15 / 99 >

この作品をシェア

pagetop