秘密の図書室 ~私と彼の特等席~
スーっと息を吸って扉を開けた。
「中野く……っ」
「へえ~! すっごくおいしそう」
中野くんっ! と呼ぼうとした声は他の声によってかき消された。
そんな私の声に気づいたのか、中野くんは振り返って私を見た。
「あっ、花見さん」
「……っ」
いつも私が座っている席に、他の女の子が座ってた。
ただ……
ただ、それだけなのに……。
「えっ。花見さん!?」
苦しくて、私はその場から離れた。