雪の降る日に、願いを消して
「偶然だなぁ! デートか?」


教室にいる時と同様に元気よくそう聞いてくる駿に、あたしの胸が悲鳴を上げる。


駿にそんな風に言われるだけで、息苦しくなってしまう。


「あ、あぁ……まぁな」


聡樹はいつもノリもなくなってしまい、頭をかいて困った顔をしている。


「そっか。お前らお似合いだなってずっと前から思ってたんだよ」


駿がそう言うと、萌ちゃんが「そうなんだ? へぇ」と、意味ありげな表情であたしを見る。


なんだか、あたしが悪い事をしているような雰囲気を感じて、後ずさりをした。


せっかく駿の事を忘れていたのに、なんでこんな場所で会ってしまったんだろう。


胸の奥がジクジクと痛んでいるのが自分でもよくわかった。


少し押せば大きな傷口が開いて、ウミが出てきそうだ。


「その子は?」


聡樹が萌ちゃんを見てそう聞いた。


「萌は俺の妹だ」


駿が聡樹に萌ちゃんを紹介した。


「あぁ、前に写真で見せてもらったっけ?」


「そうそう。その妹」


駿がそう言うと、萌ちゃんが聡樹へ視線を向けて軽く頭を下げた。


「初めまして、岩中萌です」


丁寧に挨拶する萌ちゃん。
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