雪の降る日に、願いを消して
帰り道
授業が終わり、放課後になっていた。


紗英の誘いを断り1人で教室を出る。


今は1人になりたい気分だった。


1度振られているのに諦めきれなかったため、2度も振られてしまった。


そんな自分が情けなくて、紗英と笑い合って帰る事が難しかったのだ。


昨日散々泣いたおかげか涙は出て来なかったけれど、さすがに落ち込んでいた。


1人で校門を抜けた時だった後ろからあたしを呼ぶ声が聞こえてきて振り向いた。


「鈴、一緒に帰ろう!」


そう言って来たのは桜子だったのだ。


あたしは足を止めて桜子を見る。


「駿は?」


自然と、そう聞いていた。


聞いた瞬間、胸の奥が鈍く痛む。


「今日は別々」


「……そうなんだ」


あたしは曖昧に頷いて歩き出した。


登校してきた時はあんなに寄り添っていたのに、帰りは別々か。


違和感があったけれど、桜子があたしに話がありそうな気配を感じとり、黙っていた。


「どうして何も聞いてこないの?」


桜子にそう聞かれてあたしは首を傾げた。


「聞くって、何を?」


「駿との事」


そう言われて、あたしは黙ってしまった。


そりゃぁ聞きたいことは山ほどある。


だけど、こんな風に桜子から声をかけられて質問するなんて、小さなプライドを傷つけられた気分だ。


桜子はそれを理解しているようで、含み笑いをしている。
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