雪の降る日に、願いを消して
気が付いている
黒板の文字を消していると、足音が近づいて来た。


地面を踏みしめるシューズがキュッキュと音を立てている。


あたしは時計を確認した。


あれから15分が経っている。


いつもの時間だ。


黒板の文字をすべて消し終えたあたしは何ごともなかったように、自分の席に向かった。


鞄を開けて教科書を取り出す。


「うーす」


そんな声が聞こえてきて顔を上げると、幼馴染のの田中聡樹(タナカ ソウキ)がサッカーボールを片手に教室へ入って来るところだった。


「おはよう」


あたしはそう返事をしてほほ笑む。


サッカー部の聡樹は毎日朝練を欠かさない。


あたしよりも先に来て、あたしよりも遅く教室へ入って来る。
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