雪の降る日に、願いを消して
打って変わって
しばらく黒板にラクガキをして遊んでいると、桜子が登校してきた。


駿も一緒かと思って思わず身構えたけれど、今日は1人だった。


「今日は1人で登校か?」


誰かがそう聞いたけれど、桜子はその声を無視して机に座った。


なにかあったのだろうか?


あたしは紗英と視線を合わせたが、紗英も肩をすくめるだけだった。


先生が来る時間が近づいてきて黒板を消している時に、駿が登校してきた。


駿はいつもと変わらない様子でクラスメートと楽しげな会話をしている。


「なんだよ、黒板のラクガキだったら俺もやりたかったのによぉ!」


そんな残念そうな声まで聞こえてくる。


しかし、そんな駿を見ても桜子は何も反応を見せない。


挨拶もしていないように見える。


駿の方も昨日までとは打って変わって、桜子にベッタリくっつこうとしていない。


「まさか、もう喧嘩でもしたんじゃないの?」


そう言う紗英に、あたしは首を傾げたのだった。
< 143 / 312 >

この作品をシェア

pagetop